本 隆央
平成30年入職
はじめまして、2018年に日本医科大学脳神経内科に入局させて頂きました本 隆央と申します。私は兵庫県神戸市出身で2016年に山梨大学卒業後に母校で2年間初期研修を修了しました。
学生時代から中枢神経系の持つ複雑怪奇な構造や神経診察より病巣を解明していくいわゆる"職人芸"的な魅力に惹かれて神経内科を志すようになったわけですが、今まで何の縁もゆかりもなかった当医局に入局することになった理由はまさに偶然でした。研修医2年目の初夏に同期に半ば無理矢理誘われて行った研修医向けのレジナビで歩いていると、当科病棟長のN先生に声をかけられ、説明を聞いた後に見学に行き、その後気がついたら入局していました(笑)
入局の理由としては将来は神経内科医としては変性疾患を主体に診療していきたいと考えながらもこれからの社会のニーズに対応するためには少なくとも若い頃に脳卒中をはじめとする急性期疾患の経験を積むことが必要であると考えたことと、そしてこれが最も大きいとは思いますが医局の雰囲気がとてもアットホームで皆が仲良さそうに見えたからです。
事実入局してからも上級医の先生方含め、医局秘書さんに至るまでとても親切で優しく指導してくださり、ストレスなく毎日を送ることができています。 勤務初日の前の夜は本当に不安で眠れませんでしたが、そのような心配は勤務1週間後くらいには忘れていました(笑) 当医局で学べることについてですが、脳血管障害の診療・研究についてはもはや私が語る必要はないと思いますので割愛させて頂き、その他の神経疾患(変性疾患や免疫性疾患など)に関して話をさせて頂きたいと思います。
脳血管障害と比較してその他の神経疾患に関しては、外部の方から見れば当科は一見すると症例数も専門家の数も研究についてもいまひとつな印象を受けるかと思いますし、実際に私も最初はそう思っていました。ですが、実際に診療してみて痛感したことがあります。
それはレジデントとして疾患の経験や勉強をする際に、脳卒中や脳炎、重症ギランバレーなどの緊急対応が必要な急性期疾患は何よりも「症例数」すなわち数多くの症例を経験することが大切であるのに対して、その他慢性~亜急性の経過の神経疾患の診療ではもちろん数も大切ですがやはり個々の症例に対する「深さ」、すなわち丁寧な問診、診察、鑑別などの古典的な手法を用いた深い洞察力を養うことでえるということです。もちろんどちらも「症例数」「深さ」ともに大切ですがやはり重要度の配分では上記のようになると思います。
そしてそのように徹底的に深く考えるために必要なものは主訴を持つ患者さんとそしてそれを診察する医師の情熱と知識であり、それ以上は必要ありません。逆にいえばそのような能力は誰かに教えてもらうというよりは自分自身で身に付けていくしかないと思います。
当科は神経疾患においてある領域の世界的権威などは存在しませんが、その分診断が難しい症例と出くわしたときに自分の力でできる限り調べながら上級医の先生方とともにディスカッションや時には一緒に学びながら問題を解決していこうという空気感があります。
決して上からの「神の一声」のようなもので方針が決まったり、自分の考えが否定されるようなことはありません。今では、このような環境はNeurologistとして自立した診療能力を磨くのには最適であると確信しています。研究面に関しては正直現在はまとまったものは出来ていませんが、今神経疾患グループで臨床研究のプロジェクトは進めている最中です。
当科の神経疾患グループは完成しているプロフェッショナル集団というよりはオーベン、ネーベン、レジデントに問わず互いに学び合いながら成長していけるようなそんな集団であり、その中で一緒にチームを盛り上げてくれる人を待っています!!